宝塚月組 エリザベート ―愛と死のロンド―

評価:★★★★☆

2〜3年ぶりのヅカ。母と。久々のヅカだと毎回、開演後30分間はどうしても濃すぎる異空間になじめずに、変な汗とむず痒さにさいなまれるのはお約束(苦笑)。しかし一度ドップリ世界に入ってしまえば、こっちのもの。気付けば熱い溜息を吐きハート目で拍手を送り続ける私がそこに。
死と黄泉の帝王、トート役の彩輝直のみなら、5つ星評価。役として完璧なビジュアルと、存在感、歌唱力に圧倒。あやしい手の表現力、不敵笑みの表情は特筆。企みながらゆっくりと口元に手をやったり、寝そべって人間達を見物している姿の美しさよ。ハスキーな声での悪魔的な囁きが、なんてセクシー!


ストーリーは、私的には、ヅカ版「オペラ座の怪人」風宮廷劇という感じかな。
演出が凝ってる。暗闇にボンヤリ浮かんだかと思うとパッ!とピンスポの中に輝いたり、ここぞというタイミングで奈落からヌーっと現れたり。真っ黒な衣装ばかりでダークにキメてて、急に真っ白の王子様衣装になったり、乙女心わしづかみ演出のオンパレード。これもトートの存在感あればこその効力だろう。
夫に裏切られたエリザが悲嘆に暮れる頭上に、突然、悪魔の救世主として「死ねばいいんだ!」と現れるのカッコ良かったな。黒く艶やかな羽を背負って黄泉の帝国の玉座に座る姿は、まさに先日見た象徴派の絵画のよう。皇太子の手を引いて後ずさりながら死へと誘い込むダンス、たまらんかった。死への誘惑に応えた獲物には、必ずキスを与えるのよね・・・(うっとり)。
黄泉の国の従者達を従える風格。だけど、現実逃避に死を望むエリザに、「死(自分)を愛してくれないと・・・」としりぞく傷ついたトート。この手の、美しくて強くて悪くて、だけど内面は純粋で愛を求めてる孤独な男なんて・・・これに落ちない女がいようか!


普段は男役らしい瀬奈じゅんエリザベートは、堂々と女帝らしかったが、逞しいガタイと男らしい造作の為、少女らしさや可憐さが必要な部分では少々無理が? 男役、素敵なんだろうな・・・(笑)。狂言回しのイタリア人役の霧矢大夢は、正統派美形。声が良く通り、動きもいい。この人の二枚目役も見てみたい。


銀橋で繰り広げられる様々のオイシイシーン。ああ、近くで観たかった。ガブリ寄りで、トート様と目が合う距離で、もう一度観たい!!なんで2階席にしちゃったんだよう〜(T_T) 
でも分かってるんだ。予感がする。もう一度ガブリ寄りで観てしまったら、完璧ハマる。通いつめたくなる。光一だけでも大変なのに、そこへ亮が浮上してしまって只でさえオロオロ状態なのに、これ以上ハマリ物増やしてどうするんだ!!(>_<;)
観劇後、付設のSHOPで長々と吟味した末、トート様10枚ポストカードセットを購入した。これを見て想い出に浸って我慢するんだ。ちなみに母はパンフを買っていた・・・(笑)。このパンフは何故か今、私の手元に。母のバックに入らなかったので持っててあげてて、別れ際に忘れた振りして持ち帰った事を、密かに懺悔しておく。

◆ジャニヲタ視点で◆

「光一がトート役やったら?」
すんげー美しくて高貴でストイックな黄泉の帝王になるだろな。時に感情出して弱さや戸惑いとか表してくれたら、萌え死に必至。その時は是非、死へと誘惑される皇太子役を亮で・・・! また、亮がトートでも絶妙な味出すだろーなー。亮の素キャラでもハマる。情けなかったり悪魔的にカッコ良かったり。心に寂しさを抱えて影から追い続ける、愛すべき捻くれ者の路線で。こちらも想像だけで萌え死。その時は光一がエリザ・・・?(汗)