映画「Brokeback Mountain」4/15

評価:★★★★☆

我が家の近所にシネコンができた。自転車で4分ほどの距離。なんたるオイシさ。これから何かと通いつめてしまいそう。

初鑑賞は、その筋の友の間でも話題の注目作、「Brokeback Mountain」。ロマンチックかつノスタルジック、美しくも哀しい、本場のほもほも純愛社会派ドラマとでも言おうか。ゲイ的美学に満ち溢れた映像とストーリーに、時にうっとり、時に寒気にも似た感銘(笑)を受けた。言葉少ない中にも、2人の男の表情は非常に雄弁。胸を締め付けるような切ない愛の告白は、ここしばらく映画で泣いた事のない私にも、嗚咽に近い涙を誘った。


ストーリーとしては淡々と進んで、起承転結も、結末も、善悪の判別も、全てが曖昧。何が悪かったのか、どうすればよかったのか、この哀しい結末をどう心に納めればいいのか、全ては観客個々の懐に委ねられる。
観る心の無い人は、「何が言いたいのかよく分からない」とか「女をバカにした男の身勝手な」という、自己満足or自己陶酔的ホモ映画というくくりに入れて終しまいなんだろう。でも感じる心のある人にとっては、これは深く長く心に留まる名作になると思う。


スタッフをよく知らないで観ていて、意外に感じていたのは、全編に溢れる情感の流れるような繊細さ。これがアメリカのカウボーイ好きホモおっさん監督(思い込み)の感性か?と。 後で、監督がアン・リーという中国系だというのを知って納得。アングロサクソンの感性じゃないよな〜。でも、こうやって各映画賞を総ナメにしている事を見ても、きっと人種問わず世界中のゲイと腐女子の心を掴んだんだろうな。その筋の友(女)はこの映画にハマリこんで、なんと12回も劇場で観たとか(汗)。内容が内容だけにこの映画は、国内外のゲイカルチャーや婦人団体や腐女子界など、各方面でも様々な論議を巻き起こしているそう。作品の映像の中の様々な隠喩やWミーニング(山の名やクローゼットの意味、セリフの意味etc.)などを教えてもらって、一段と深く作品を楽しめた。
しかしビックリしたのは・・・ あんな即物的なのもアリなのかー。そうなのかー・・・。いやー勉強になったわ。