高橋真琴個展 5/23

評価:★★★★★
「真琴のSWEET PARTY -お菓子と少女たち-」〜銀座 ギャラリー向日葵 5/23〜6/3



ああ、もう今日で終わりじゃん(汗)。もっとホヤホヤで書きたかったな。どうもジャニの大ネタ続きで押してしまった。
とりあえず、もうほんとうに良かった。展覧会自体は小さなギャラリーの小規模なものだけど、この細密な夢世界をこんなに真近に、心行くまで堪能するには十分だった。


物心つくかつかないかの幼い頃に、私の美意識の綺麗な部分や夢々しい憧れの原点を育ててくれたのは、間違いなく彼だ。少女の夢といえばおひめさま、おひめさまといえば高橋真琴、これぞ普遍の真理。一体どれだけ、あの可愛らしいおひめさまを真似して描いただろう。あのくるんとした巻き毛の先と繊細なレースの縁取りに、粒々パールのかんむりとキラキラの瞳に、どれだけ夢ふくらませただろう。


小さな額の中に繰り広げられるギッシリ詰まった夢の世界。そのひとつひとつに釘付けになり、背景の森のそのまた奥の、お城の中庭の中の、ゴマ粒のようなプードルのシルエットとかに、押し殺したヒーヒーが止まらない私。小さい画廊だし、なんだか真ん中のテーブルに居る初老紳士が気になるし・・・でも作品ガン見は止まらない。片隅には今まで出版された絵本が。・・・あ!この「おやゆびひめ」、私が小学生か中学生の時、真似して描いたやつだ!うわぁ、懐かしい・・・! 


本を手に取り、ためつすがめつしていたら、その初老紳士が話しかけてきた。穏やかな笑顔で作品の解説を・・・も、もしかして・・・??(汗) 恐る恐る訊いてみたら、なんと真琴先生その人!!ひぇぇえ(汗)こんなに簡単に自分のカリスマに遭えていいのか?? 最初アワを喰ったものの、気付いたら、自分が幼い頃どんなに憧れてどんなに影響を受けたかとか、このお花が好きだとかこんなアクセサリーがあったらいいなと思っていたとか、色々とまくし立ててしまっていた。
先生は終始穏やかな笑顔。気さくで温かい人柄。「70になってもこんな絵を」なんてテレ気味でおっしゃる。そう!驚くべき事に、真琴画伯は今もって、まったく衰える事なく、脈々と続くおひめさま絵画の王道創作を続けてらっしゃるのだ!!展示には、何十年も前の作品から、2006年の日付が記された大作までが、何の遜色も違和感も無く混在している。これはとんでもない事だ・・・。


私が特に憧れた、先生の絵のスタイル画のようなファッション性。何か舞台衣装のデザインとか研究とかをされていたのかとお訊きしたら、全然そうではなく「好きに描いてます」との事。木々や花の「自然の世界を・・・」とおっしゃっていたけれど。いやいや、それだけでは無いでしょう。失礼ながらこういう安易な形容を使わせて頂けば、先生はかなりの“オタク”でいらっしゃる筈だ。こんなにある意味キワモノのおひめさまを、何十年も変わらぬ情熱で描けるんだもの。ただ、いわゆる普通のオタクにありがちな暗さやいやらしさが全く無いのだ。崇高なる芸術なのだ。


驚きつつもやはりと頷いたのは、なんと最初は漫画家でデビューされていたという事。なーるほどー。この真琴画の影響が見られる少女漫画家も多い筈、ていうか、もろお手本にしてたんだろうな〜。嬉しい事に、今月16日にその頃の復刻版が出るとの事。チラシをもらったけど、これがまた素晴らしい。今の細密画とはもちろん違う、50年前の昭和モダンな乙女ちっく叙情画世界。真琴先生の本は今までにも数々出版されているんだろうけど、検索でも今いちわかりにくいし、画廊HPもそんなに更新されないようなので、ここにメモっておこう。

小学館クリエイティブ「復刻名作漫画シリーズ」近刊案内チラシより ・

「パリ〜東京」「さくら並木」 高橋真琴画伯

半世紀前に描いた幻の叙情少女漫画。「ひまわり」以降の叙情画の系譜に連なるモダンで洗練された世界。少女漫画を一変させた画伯のルーツを知る名作2品を、復刻! 

●「パリ〜東京」・・・少女のパリへの憧れをスタイリッシュな絵柄で映した、華やかな一編。
●「さくら並木」・・・女学生同士の繊細な心の交流を描く、叙情的な少女小説のかおり高い一編。


6月16日発売予定。定価3780円(税込み) B6版 2冊函入り
※著者インタビューと、獄本野ばら、松本零士、富士本由香里各氏による解説小冊子付き



真琴画廊HP
http://www5a.biglobe.ne.jp/~belne/55114740/


高橋真琴 作品一覧: 紀伊國屋書店BookWeb
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8D%82%8B%B4%90^%8B%D5/list.html