「トピカプ宮殿の至宝展」〜東京都美術館

評価:★★★☆☆

●「トルコ・イスタンブール紀行 トピカプ宮殿の至宝展 〜オスマン帝国と時代を彩った女性たち〜」
http://www.tobikan.jp/museum/topukapu.html


もうホンット疲れた・・・。と、内容よりもまずその事を言いたいくらい、久々に足が疲れた。入り口も、展示会場内部も、トイレへやレストランへの導線も、全てが階段なんだもの。おまけに、中には殆ど休憩所が無く、あっても疲れ果てた客が眠りこけてて座れない。
展示の仕方も、少々勿体ぶったというか、なるほど公立というか。目玉の展示品がかなり後半に位置しており、クタクタに疲れ果てた頃にやっとお目見え。一旦警備員のイスを借りて小休憩していなければ、肝心のところを「もう早く出て休憩しよう・・・」とスルーしてしまうところだった。見たところ50〜60代の客も多かったけど、みなさんお元気だよな〜。


企業や私設の中小規模の展覧会では、導入から程なくして目玉の陳列があり、そこでしっかり客の心を掴むという方法が多いように思う。その後の陳列も、客の疲れやバイオリズムを想定して、順番や休憩所の配置が考えられているので、展示会場に入っても「疲れたら休めばいい」という気楽な気持ちで入れる。しかし、この東京都美術館のような構造と休憩所の状態では、生半可な健康状態では相当の覚悟を持って入場しなければならない。
まあ、いつ行っても混んいでる美術館なので、人気は揺ぎ無いものがあるんだろうし、特に客に歩み寄る事も考えつかないのかもしれないが。ひ弱系根性なしの私としては、これは是非とも改良してもらいたいところだ。最後に置いてあったアンケートにひとこと書いておけば良かったな。


で、やっと内容についてだけど、うん、やっぱりなかなか良かった。
15年ほど前現地の宝物殿で見た、顎が外れるくらいの宝石の洪水、めくるめく絢爛豪華さ、悪趣味と紙一重のド迫力は無かったけれど。その代わり、当時は展示品の山に埋ずもれて注目する余裕の無かった、繊細で高度な美術工芸の技と芸術的逸品が、磨きなおされてキラキラと展示されている様子は、感動的だった。


つい先月イスラム世界を舞台にしたアニメ映画「アズールとアスマール」を観たばかりだったので、ハレムや女官達の風景なども想像し易く、タイミングが良かったんだ。映画でも思ったけど、アラビア語って美しい。アラビア語コーランの文章を装飾的にデザインして透かし彫りにしたり、唐草模様のように仕上げたりというセンスには、惚れ惚れとした。やっぱり文様と配色の美しさがキモだなあ、イスラムは。


意外だったのは、私の訪れたイスタンブールの気候風土と比べて、展示品のオスマン帝国の衣装はずいぶんと分厚く、トルコというよりはモンゴル風なデザインだった事。オスマン帝国と一口に言っても国土が広大だから、地方によって寒暖の差が激しかったのかな。歴史絵巻的イラストも、遠近法の無い感じとか山や自然物の描き方とかが、一見中世の日本の手法によく似たように見えて、アジアが源流の文化の流れを感じた。


またいつかトルコに行きたいな〜。