「舞台芸術の世界」〜東京都庭園美術館 9/14

評価:★★★★☆

●「舞台芸術の世界〜ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン〜」
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/stage/index.html


やっぱりこの時代とこの官能的な雰囲気は大好きだ。たまらない萌えがある。


レオン・バクストによるニジンスキーの為のデザイン画を前にすると、ゾクゾクと血が沸き立って、キャーッ!!と叫んで手を叩きたい気持ちを抑えるのが大変だ。彼のデザインした衣装や舞台は、一世紀経ってもなお大変に斬新で魅力的。これを誰に着せたい、彼に着せたいと、次々想像が沸いてくる。


彼もやっぱりディアギレフやニジンスキーらと同じ嗜好の人だったのかな。ゲイの人達の創るものの魅力は、その官能性だと私は思う。現代においてのドルチェ&ガッバーナジョン・ガリアーノを見ても感じるように、彼らの創るものは、そのコスチューム自体の美しさと共に、モデルの肉体美への礼賛と、見る者を誘惑する官能性に満ちている。その衣装を着た佇まいから、様々な情緒的官能的ストーリーが流れ出し、時にはそれを自ら風刺するような高度なトリックを付加して、更に見る者を楽しませてくれる。美しくてエロいもの好きの私が、これを嫌いな訳が無い。


この庭園美術館は、公立の大美術館と比べて程好い広さで、古い造りにしては不便があまり無く、広々としていて休憩できるところも沢山あるのが良い。混み具合も程ほどで、グッズもなかなか気が利いている。何より建物から見える庭園が素晴らしいしねえ。一度庭園内を散策せねばと思ってるんだけど、展示とおしゃべりでお腹いっぱいになって、いつもそこまで回らない。一度ハズレな展覧会にでも当たれば、さっさと出て庭園散策に切り替えようと思うんだけど、なかなかハズレもなく(笑)。


そうそう、今回のお遊び、「赤い靴かダイヤ柄のついた服装で来た客には団体割引する」というサービスも、センスいいじゃないか。どっちも持ってなくて、私は恩恵受けられなかったけども。
元皇族邸という事で、係員などにもちょっと気取った空気があるといえばあるんだけど、展示内容が良ければ気になる程度でも無し。要するに、色々トータルすると、東京都美術館よりずっとイイカンジだなあというお話(苦笑)。


展示以外でも楽しみだったのが、バレエ・リュス初期の3作品、『薔薇の精』、『牧神の午後』、『ペトルーシュカ』の上映。映像があまりに綺麗なので、最近の復刻版なのかと思ったら、ちゃんと当時のものだった。
中でも『薔薇の精』と『牧神の午後』に私は思い入れがあって、KinKiにハマりたての頃、2人にこのコスプレをさせる事ばかりを夢想していたものだ(笑)。薔薇の花びらを全身にまとった麗しい妖精が、少女の眠りの中へ、ポーンと軽々高くジャンプして飛び込んでくる『薔薇の精』。これは光一。妖しい白黒まだらの悪戯な牧神がニンフを追って、最後はニンフの残したベールを置いて自慰をするという問題作『牧神の午後』は剛。2人の当時のビジュだったら鼻血噴いたまま止まらない状態になってたと思う。


幼少の頃に青池保子の「イブの息子たち」を読み、高校時代に「ニジンスキー」という映画を観てから、ニジンスキーには興味を持っていて、何年か前都内でやった「ニジンスキー展」も観に行った。今回も観て、やっぱり彼は稀代の芸術家であり、皆に真から愛されたバレエの精だったんだなあと思った。彼の動画が残っていないというのが、本当に残念だ。